監査役インタビュー

No.26(19年11月)
ユナイテッド株式会社 常勤監査役 山﨑 滋さん

テーマ:
ユナイテッド株式会社における監査活動――情報収集・分析・発信活動を中心に

山﨑滋様は、当協会の監査実務部会で長く幹事をお務めいただいています。常に精力的に、部会メンバーの方々全体の利益に資するべく活動をされており、そのフットワークの軽快さは協会事務局でも有名です。今回はその山﨑様の監査実務部会での活動の一端を御紹介いただきました。

  • ※こちらでは、インタビューの一部をご紹介いたします。
  • ※全文は月刊監査役701号(2019年11月号)に掲載しております。

監査役としての活動について

―監査役としての情報収集・分析、及びこれらの監査実務部会での発信活動について、御紹介ください。
 部会での発信活動のために私が行っている作業を御紹介します。
 初めに「監査役の備忘録」というものを作成します。これは自分自身でひたすら新聞や雑誌の記事をスクラップするというもので、自宅で購読している『日本経済新聞』や『日経産業新聞』、『朝日新聞』を、雑誌では『日経ビジネス』を、そのほか上場企業の適時開示情報、日本公認会計士協会や金融庁のホームページ等、また協会ホームページも閲覧して、私独自の視点で「監査役等の役に立つのではないか」と思った記事をピックアップして、分類しつつまとめたものです。そのままでは分量が非常に多いので、より重要度が高いと私が判断した内容を抜粋して整理していきます。
 そしてこれらの中から特に重要だと思われるテーマや、私自身がもう少し深堀りした方がよいと思ったテーマを一つだけピックアップして、「監査役のレジュメ」にまとめます。この際には、関連する論文や他のメディアに情報がないかを調べたりして、テーマに沿って「POINT」として要点を整理し、最後に「MY OPINION」という形で私なりの意見や考察を載せています。これを月に1回を原則として、部会で発表しています。部会では、毎月15分くらい発表時間を頂いて質疑応答も行い、メンバーの皆さんから御意見を頂いています。

―監査役のレジュメで過去に御紹介された内容を一覧で示してみると、そのテーマは多岐にわたります。これらを選ぶ際の山﨑様の思いや、特に思い出深かったテーマなどがあれば御紹介ください。
 「監査役のレジュメ」のテーマは「今後の監査役業務に必要かどうか」という基準で選んでいます。テーマが多岐にわたっているのは、監査役の業務がそれだけ幅広いことの表れではないでしょうか。特に思い出深かったテーマの一つは、「EU一般データ保護規則(GDPR)~迫る期限、準備はできているか?~」(2018年1月)です。一般データ保護規則の施行を2018年5月に控え、このテーマを取り上げました。当時、私の周辺でこのテーマを理解して、監査役として対応をなさっている方は少なかったのですが、弊社は私から執行側に対応状況等を確認することができました。この後随分経ってから、他社の監査役等の方から問合せ等を多く頂きました。「監査役のレジュメ」を作成することで、監査役として早く対応ができた例として思い出に残っています。

―毎月新聞などの情報をまとめているとのことですが、一息にまとめているのでしょうか。それとも、コツコツとまとめているのですか。
 最初はどのようなものを作っていこうかと、試行錯誤がありましたが、記事をためこんでしまうと大変だということがだんだん分かってきまして、今では毎日の業務が終わった後や、週末に作成しています。毎朝、会社に来るまでに新聞を読んでおいて、関係のある記事にはチェックをしておき、仕事が終わってからまとめる作業をしています。
 また「監査役のレジュメ」は、新聞記事以外の文献等の閲覧が必要となってくる場合が多いので、書籍を購入したり、国会図書館に行き書籍や論文等を閲覧してから、資料をまとめるようにしています。

―それでは、こちらの活動を始められたきっかけを教えてください。
 協会の部会に入ったことがきっかけです。私が所属しているのは東京本部の非製造業第1部会第2グループなのですが、この部会は伝統的にとても熱心に活動する部会です。私の前の代の幹事をされていた方々が、共著という形で監査役の実務に関する書籍を発行していて、私はその改訂版で著者の仲間入りをさせていただきました。また、部会そのものも今は毎回3時間行っていて、これは協会の他の部会と比較しても長いですよね。たまたま、私はそのような熱心な活動をしている部会に入って、数年後に幹事になりました。
 ちょうど幹事になったとき、当時の幹事の方が時事ネタを紹介して解説しているコーナーがありました。その方は監査役としての経験も長く、公認会計士の資格もお持ちだったので、選ぶ題材も的確で、とても良い解説をされていて、部会の中でもとても好評でした。私も一メンバーとして聞いていて、素晴らしいと思いました。しかし、その方が幹事を退任された後、正直大変なのでそのコーナーはやめるという話になったのです。部会のアンケートでは好評だったのですが、本人がやめるとおっしゃっているのに無理強いをするわけにもいきません。そこで、一番若い幹事だった私が、その志を継がなくてはいけないと勝手に思い(笑)、それで始めたのがきっかけです。大体今から7年前のことです。
 「監査役のレジュメ」が現在の形式になるまでは、いろいろと試行錯誤がありました。部会での発表時間は限られているので、内容をきちんと説明できる分量に抑えつつ、まとめるようにしています。現在は毎回これを印刷して配布し、部会で発表しています。

―今後の展望について教えてください。
 これらは全て私が独力手作業で作成していますので、なかなかこれ以上時間が割けません。情報も一人で集めていますので、格段の質の向上というものは、今後見込めないという点が、現状の課題だと思っています。もし可能であれば、志のある方と一緒に作業できないものかと考えています。正直負担の大きい作業ですから、簡単にお願いすることはできないのですが、特に監査役等の方には是非お願いしたいですね。やはり監査役等には独自の視点というものがあると思いますので、同じような立場で、異なる視点を持っている方と一緒に取り組めると内容も充実して良いものになるのではと思っています。
 最初これらを作ったときは義務感でやっていて、毎月まとめるのが本当に大変でした。今も大変なのは変わらないのですが、それでも何か月かやってみると「やってみて良かった」と思うようになりました。その理由は二つあります。一つ目は「情報は知識に変わる」と実感したことです。それまでもこのような内容について、新聞の記事を読むことはありましたが、ただ読むだけでは情報を得るだけで終わってしまっていました。しかし、例えば、一つの記事について考えて、スクラップして、内容をまとめて、更に深堀りして、分析していくとなると、かなり頭を使いますよね。そうすると、情報が知識に変わっていくため、内容が頭に残るのです。新聞を読むだけだとすぐ忘れてしまうこともありましたが、この活動をするようになってから、監査役同士で「そういえば、昔あんな事件あったよね」という話になったときにも、その内容がパッと頭に浮かんでくるようになりました。自分でも正直なところ、すごいと思います。繰り返しになりますが、「情報は知識に変わる」ということを実感しました。
 これに関連するのですが、二つ目が「情報を俯瞰的に捉えることができるようになった」という点です。どういうことかと言いますと、例えば、この活動を始める前は新聞の記事を読むときに何だか唐突感を覚えることがあったのです。「なぜこの記事がこういうときに出てくるんだろう」とか「自分に関係がある記事だけれども、今後どうなっていくのだろう」ということが分からないこともありました。しかし、この活動を始めることによって、今まで点でしか分からなかった内容が、線でつながるようになりました。あのような記事が過去にあったから、今このような出来事があり、今後は恐らくこうなっていくのだろう、ということが、何となくではありますが、感覚的に理解できるようになりました。更に言えば、監査役にとってこれからの重要なテーマになっていくのだろう、という展望も開けてきたと思います。例えば、SDGs(持続可能な開発目標)について、これは今や企業にとって自明のことですよね。新聞ではかなり前から少しずつ記事として取り上げられてきていて、私もそれをレジュメにまとめて部会で発表したのです。そうしたら、「これは企業の社会的責任なのか」と質問があって、「いやそうではありませんよ」とお答えしたのです。企業の社会的責任と言うと、何となく上から目線です。企業はもうかっているのだから社会貢献しなくてはならないのだと。SDGsの概念をひもとくと、そうではなくて、これに取り組まなければ企業価値が向上しないため、やらなければならないものなのだと、一生懸命説明したのですが、そのときは皆さん「ふーん」という感じで、あんまり反応が芳しくはなかったです。しかし、今SDGsの内容を取り上げると、皆さん「そうだよね、やらないと企業価値が上がらないよね」と思われるでしょう。これに取り組まなければ、株価が上がらないこともありますので、しっかり取り組んでいかなくてはいけないという意識に、徐々に変化していったのだと思います。
 このように、あるテーマについては、新聞に出始めの頃と、一般の方に浸透するまでには時差があることがこの活動をしていると、何となく分かるようになってきました。こういった実感がこの活動のモチベーションになっています。

―今後の展望について教えてください。
 これらは全て私が独力手作業で作成していますので、なかなかこれ以上時間が割けません。情報も一人で集めていますので、格段の質の向上というものは、今後見込めないという点が、現状の課題だと思っています。もし可能であれば、志のある方と一緒に作業できないものかと考えています。正直負担の大きい作業ですから、簡単にお願いすることはできないのですが、特に監査役等の方には是非お願いしたいですね。やはり監査役等には独自の視点というものがあると思いますので、同じような立場で、異なる視点を持っている方と一緒に取り組めると内容も充実して良いものになるのではと思っています。
 最初これらを作ったときは義務感でやっていて、毎月まとめるのが本当に大変でした。今も大変なのは変わらないのですが、それでも何か月かやってみると「やってみて良かった」と思うようになりました。その理由は二つあります。一つ目は「情報は知識に変わる」と実感したことです。それまでもこのような内容について、新聞の記事を読むことはありましたが、ただ読むだけでは情報を得るだけで終わってしまっていました。しかし、例えば、一つの記事について考えて、スクラップして、内容をまとめて、更に深堀りして、分析していくとなると、かなり頭を使いますよね。そうすると、情報が知識に変わっていくため、内容が頭に残るのです。新聞を読むだけだとすぐ忘れてしまうこともありましたが、この活動をするようになってから、監査役同士で「そういえば、昔あんな事件あったよね」という話になったときにも、その内容がパッと頭に浮かんでくるようになりました。自分でも正直なところ、すごいと思います。繰り返しになりますが、「情報は知識に変わる」ということを実感しました。
 これに関連するのですが、二つ目が「情報を俯瞰的に捉えることができるようになった」という点です。どういうことかと言いますと、例えば、この活動を始める前は新聞の記事を読むときに何だか唐突感を覚えることがあったのです。「なぜこの記事がこういうときに出てくるんだろう」とか「自分に関係がある記事だけれども、今後どうなっていくのだろう」ということが分からないこともありました。しかし、この活動を始めることによって、今まで点でしか分からなかった内容が、線でつながるようになりました。あのような記事が過去にあったから、今このような出来事があり、今後は恐らくこうなっていくのだろう、ということが、何となくではありますが、感覚的に理解できるようになりました。更に言えば、監査役にとってこれからの重要なテーマになっていくのだろう、という展望も開けてきたと思います。例えば、SDGs(持続可能な開発目標)について、これは今や企業にとって自明のことですよね。新聞ではかなり前から少しずつ記事として取り上げられてきていて、私もそれをレジュメにまとめて部会で発表したのです。そうしたら、「これは企業の社会的責任なのか」と質問があって、「いやそうではありませんよ」とお答えしたのです。企業の社会的責任と言うと、何となく上から目線です。企業はもうかっているのだから社会貢献しなくてはならないのだと。SDGsの概念をひもとくと、そうではなくて、これに取り組まなければ企業価値が向上しないため、やらなければならないものなのだと、一生懸命説明したのですが、そのときは皆さん「ふーん」という感じで、あんまり反応が芳しくはなかったです。しかし、今SDGsの内容を取り上げると、皆さん「そうだよね、やらないと企業価値が上がらないよね」と思われるでしょう。これに取り組まなければ、株価が上がらないこともありますので、しっかり取り組んでいかなくてはいけないという意識に、徐々に変化していったのだと思います。
 このように、あるテーマについては、新聞に出始めの頃と、一般の方に浸透するまでには時差があることがこの活動をしていると、何となく分かるようになってきました。こういった実感がこの活動のモチベーションになっています。

―山﨑様が、御社の監査役として、いつも心掛けていらっしゃることや、取り組んでいらっしゃることを教えてください。
 当社に入社して以来、「監査役として日々成長していかなければならない」ということを強く意識していますし、強く意識させられています。以前『月刊監査役』の「シリーズ談」にも書かせていただいたのですが、私の監査役としてのビジョンは「日本を代表する監査役になる」というものです。なぜこのビジョンなのかというと、当社のビジョンが「日本を代表するインターネット企業になる」というものだからです。会社が日本を代表するインターネット企業になるのなら、その会社の監査役も日本を代表するレベルでなくてはいけないと思いまして、目標を高く持って、少しでもその目標に近づくことができるよう、日々取り組んでいます。
 そして、当社のミッションが「挑戦の連続によりあたらしい価値を創り出し、社会に貢献する」というもので、更に「チームユナイテッド」「自責自走」「チャレンジ」「コミット」「No.1」という五つのバリューを掲げています。これらに共感した人が入社し、在職していますので、成長意欲や事業意欲が旺盛な人が多いですね。そのような中にいる監査役は、やはりそれ以上に頑張らなくてはいけないと思いますし、精神的に良い刺激をもらっています。そういう意味で、良い会社に入れていただいて良かったと思っています。
 私は今57歳ですが、社員の平均年齢は30歳くらいで、今の新入社員とは、大体親子くらい年が離れています。一番年が近いのは、恐らく会長なのですが、それでも8歳差と一世代くらい違うのです。そのような中で意識しているのが、他の会社の監査役以上に、周りの人が私に話をしやすいようにいつも気を付けるということです。私は、監査役の仕事の一つは「人の話を聴くこと」だと思っています。一般の社員の多くとは年齢がかなり離れていますから、私が仏頂面をしていると話しかけにくいですよね。ですので、難しいところはあるのですが、話しかけやすい雰囲気になるように、意識的に言動には気を付けています。それと、これはベテランになると往々にしてあり得る話なのですが、年齢と経験を積んでいるとどうしても自分から、自分のことを話したくなってしまうのですよね(笑)。そのため、私は極力社内では話をしすぎないようにして、聴く側に回るように肝に銘じています。
 当社はインターネットビジネスがメインの会社ですが、特にこの分野においては、過去の成功体験が余り役に立ちません。技術の進歩とビジネスモデルの変革が格段に早いからです。私が昔取った杵柄で話をしても、余りためにならないので、むしろ「この人はどう考えているのか」等について、なるべく話をきちんと聴くようにしていくと、年齢に関係なく、勉強になることがたくさんあります。そして、話を聴かせてもらったら必ず感謝をするようにしています。
 これからも、そのような意識を持ちつつ、監査役としての職責を果たしていきたいと思います。

―ありがとうございました。

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