監査役インタビュー

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No.9(03年3月) 三菱地所 常勤監査役  佐竹 靖夫さん


「コンプライアンス体制」

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 一般に余り知られていない監査役の働く姿や、生の声などの情報をHPで提供していく「今月の監査役」。
 第9回目は、1月24日に第1回「誠実な企業」賞大賞を受賞(於東証ホール)されました三菱地所の佐竹監査役です。同賞は、優れた企業倫理を醸成しようと日々努力し、コンプライアンスや内部統制の点で積極的な取り組みが認められた会社に贈られます。
 大賑わいの新しい丸ビルや、丸の内再開発で最近話題の三菱地所。監査役歴4年の佐竹さんに、三菱地所の監査について伺ってみました。


「誠実な企業」大賞の受賞おめでとうございます

;ありがとうございます。いろいろなところから反響がありました。名誉なことだと思っております。しかし主催者の談話にもありましたが、受賞したからといって将来も不祥事を起こさないという保証をいただいた訳ではありません。ただ、何か起こりそうな時に対応ができるということは言えます。このような栄誉をいただいたからには、われわれも賞に恥じない行動をしていかなければならないと思っております。


受賞の要因をどう分析されますか

kk_0303_photo2.gif;ご承知のように当社は数年前に不祥事がありまして、それ以来全社を挙げて二度と不祥事が起こらないように対応してきました。そういった姿勢が評価されたのではないでしょうか。当初は三菱地所本体が中心でしたが、現在、子会社も含めてグループ内に「コンプライアンス・ハンドブック」を作成・配付し、グループ各社にもコンプライアンスについての遵守等を行ってもらっています。また、トップを含めた「コンプライアンス委員会」がありますので、何か問題があればすぐにここで対応します。
;当社のトップなども折に触れて「コンプライアンス、コンプライアンス」ということを言い続けております。こういうのはやはり「喉元すぎれば...」ではないですが、だんだん忘れ去られ、風化してしまうこともあり得るので、トップやコンプライアンス委員会が絶えず言い続けていかなければならないのではないかと思います。


監査役会とコンプライアンス委員会との関係についてお話し下さい

;監査役もオブザーバーとしてコンプライアンス委員会に入っています。先日もコンプライアンス委員会があったのですが、私ども常勤監査役の二人も委員会に出席しました。幸いに不祥事等の問題は起こっておりませんので、活動報告が大部分です。ですから現在のところ、監査役として「ああしろ、こうしろ」と言うことは特にありません。


日頃はどのような「監査」を心がけていらっしゃいますか

;監査活動は毎年作成する監査計画に則って実施しています。監査報告書に載せなければならないような事項は言うまでもありませんが、それ以外に年度によって重点的に行っているような監査もあります。近年特に力を入れているのは、コンプライアンスとリスク管理ですね。この点については、関係会社を含めて詳細に聴取し、遺漏のないような体制にしていきたいと思っております。そこが力を入れているところです。
;私どもの事業はビルが主体です。ビルの関係ですと火災の予防・防犯等のリスク管理が中心です。また住宅等の販売事業ですと、未分譲物件、未開発地の資産管理がきちんと行われているかなどがあります。全社的には発注等の透明性が保たれているか、ということにも留意しています。


監査役としての喜びを感じる時は、どういう時ですか

kk_0303_photo3.jpg;監査役としての発言を尊重してもらえた時ですね。「監査役がそうおっしゃるなら」とか、「監査役からこういう指摘があったのでこうします」と言ってもらえた時は、やはりやり甲斐というか「やって良かった」という気持ちになりますね。尤も執行部側でも十分チェックしていますから、我々が違法の虞のある行為を指摘することは殆どありません。
;「妥当性まで踏み込めるかどうか」とよく言われますが、「妥当かな」というようなことがあれば指摘しますが、基本的には執行部側で考えてもらえば良いことだと思っております。執行部には執行部の考えがあっていろいろなことを進めていますからね。それで「うるさいな」と言われたら困りますが、執行部は監査役の言うことを真摯に受け止めて考えてくれていますので、監査役としての職務を全うしているなと思います。


監査役の経験を通じて、何か心に残るエピソードはありますか

;エピソードになることかはわかりませんが、ある先輩の監査役が退任される時の挨拶で、「監査役として思い出はありますか」と尋ねられた際に、「監査役には何も思い出がないほうが良いのですよ」と答えられました。私はそれを聞いて「はっ」としましたね。取締役ですと「こういうことをしました」、「こういう実績を上げました」というように思い出としていくらでも語れると思いますが、監査役の場合には立場上思い出がない方が良いのです。私も退任する時には「取締役としてはともかく、監査役としての思い出はありません」と言って辞めたいと今から思っております。


≪佐竹さんの略歴≫
1940年生まれ。北海道出身。1963年大学卒業後、三菱地所入社。1988年人事部長、1991年取締役、1998年常務取締役、1999年常勤監査役就任。協会理事。

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