監査役インタビュー

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No.8(03年2月) 全国朝日放送(テレビ朝日) 常勤監査役 安野 正紀さん


「放送局における監査役監査」

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 一般に余り知られていない監査役の働く姿や、生の声などの情報をHPで提供していく「今月の監査役」。
 第8回目は全国朝日放送(テレビ朝日)常勤監査役の安野さんです。安野さんは、人事や経営企画出身の監査役で、就任されて今年で5年目。安野さんは会員の皆様にご好評いただいております「Net会員相談室」の運営メンバーの1人でもあり、異業種交流部会の幹事でもあります。今回は協会活動についてもお話しを伺ってみようと思います。


《インタビュー》

監査役に就任された時のことをお話し下さい


;経営企画局長という従業員時代から既に役員待遇ということにはなっていたのですが、取締役ではなく監査役に任命されたことについては、当初は複雑でした。会社から認められたことは大変嬉しいのですが、監査役を目指して入社する人はいないですよね。皆さんも同じように感じているのではないでしょうか? 部下もいなくなりますし、これまでは自然に集まってきた情報も、自分を偉くしてくれる可能性のない執行を離れた役員には簡単に入ってきません。自分で努力や工夫をして情報を収集する必要がでてきます。そういう意味で、研修会や部会といった監査役協会での活動は重要ですね。
;監査役の就任期間は大体3~4年と短いので、充分な専門知識をもって監査の仕事ができる「プロ」となることは難しいと思います。ですから監査役は、専門家である会計士や弁護士、そして内部監査担当者といった「プロ」と連携をとりながら、ベストプラクティスを実行できる実務家を目指すべきだと現在考えています。実務家としての自分の位置づけさえはっきりさせれば、後は実務家として監査の品質を如何に上げるかという面で努力すればいいのだと思っています。


協会活動では異業種交流部会の幹事を務めていただいていますが、何か特別なことをされているのでしょうか?

;就任当時の複雑な思いは、この部会のいろいろな会合で先輩達の話を伺うことで、整理することが出来るようになりました。監査役にとって精神的な支えは必要だと思います。
;我々の部会では、新人監査役を対象にオリエンテーションを設けました。新人の皆さんには、複雑な思いを早く整理して、監査役として戦力となってもらわなければなりません。このオリエンテーションでは、技術論の他にも生き甲斐論もテーマにします。技術は確かに必要ですが、私は精神的なものが高まらないと、監査の品質をあげるような行動には結びつかないと考えています。
;今まで勇気をもって言えなかったことを言うことが、自分の監査役としての存在感をあげていくのだと思います。この勇気を支えるものこそが、今言いました精神的なものです。取締役会で発言するには勇気が必要です。そのためには、自分なりに「はらが据わっている」ことが必要なのではないでしょうか?


「Net会員相談室」でも運営メンバーとして回答いただいておりますが 

;商法改正が続きましたから、やはり新商法に関する質問が多いですね。商法改正以外の質問では、新任監査役の多くの方々が悩まれるような質問が多いような気がします。会社でも問題になっていることを「Net会員相談室」で確認するようなケースも散見されます。このような質問の中には、結局「法律的にはどうなのだ?」といったものが少なくありません。争いごとになるようなケースは別ですが、私は「必ずしも法律論を振りかざすことが監査役の仕事ではない」と考えています。


放送局の監査として、特に気をつかってらっしゃることは何ですか?

kk_0302_photo2.jpg;放送局というのは、ある意味では番組を制作しているソフトメーカーです。そう考えると、何も特別な監査はありません。ただ、この業界は制作会社と半年契約を結んでいても、視聴率が悪ければ3ヶ月で番組を中止することもありますし、タレントにしても雇用者ではありませんので極端な話すぐに出演をお断りすることもあります。このような部分が特殊かもしれません。このあたりの監査は難しいですね。私は出来るだけ現場の若い人とコミュニケーションをとるよう心がけています。
;またこれは意外に思われるかもしれませんが、放送局に往査は殆どありません。というのは、我々が制作した番組やニュースを放送するような系列放送局は23局ありますが、これらは実際別資本で運営されており、商法上の子会社はないのです。
;弊社は上場が遅かったので、ガバナンスの点で弱い部分があると思っています。ですから監査役として、コンプライアンス体制の確立やリスクマネジメントなどの予防監査的な面にも今後一層力を入れていくつもりです。


何か監査役としてのエピソードをお話し下さい


;社長が淡々と議事を進行して終わってしまうような形式化した会議で、ある時質問をしました。質問するということの背後には、「本当にこれで良いの?」という意思が込められています。いままでは監査役が会議で質問すると言うことはありませんでした。会議に緊張感がでてきましたね。いまでは質問しやすい雰囲気になりました。また、「経営判断原則」を常務会でPRしたこともあります。


監査役として心がけていることはありますか?

;監査役も役員の一員です。管理職には部下に指図して業績を上げるようなあり方もありますが、目的を持って仕事をしている部下をサポートし、その目的の実現を手伝うようなあり方もあると思います。監査役とはこのような「サポーティブな役員」であると捉えられることができると思っています。監査役に就任直後は、適法性であるとか妥当性であるとか、いろいろと議論しましたが、現在はどちらが正しいかの議論ではなく、どうすればもう少し予防的なところに仕事のスタンスをもっていくことができるのかということを考えるようになりました。


≪安野さんの略歴≫ 1940年生まれ。1963年全国朝日放送株式会社入社。1989年経営企画部長、1990年人事部長、1995年経営企画局長を経て、1998年に常勤監査役に就任。異業種交流第二部会幹事及びNet会員相談室運営メンバー。趣味はジョギング、ゴルフ。

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