監査役インタビュー

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No.3(02年9月) 丸善 常勤監査役  塚田 實さん


「老舗のベテラン監査役」

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 一般に余り知られていない監査役の働く姿や、生の声などの情報をHPで提供していく「今月の監査役」。
 第3回目は丸善監査役の塚田實さん(監査役歴8年)に登場していただきました。塚田さんは会計に大変明るい営業出身の監査役。
 出資者である「元金社中(もときんしゃちゅう)」、経営及び執行者である「働社中(はたらきしゃちゅう)」と、日本でいち早く資本と経営を分離した明治2年創業の丸善。当時既に社長や役員の世襲禁止、日本初の簿記講習会開催など、現在のコーポレートガバナンスを先取りした老舗のベテラン監査役にどのような点に注意を払いながら監査を行っているのかインタビューしてみました。   


《インタビュー》

日々どのような監査活動を行っていますか?


;日々のルーティン業務というものはありません。弊社の場合、月初めに定例取締役会・経営会議があり、次の週から経営会議が毎週開催され、会議終了後監査役会議を月に2~3回程度行っていますが、全ての会議に出席しています。監査役として取締役会や経営会議で発言するには、やはり情報を正確に入手し、その情報をもとに資料を読み込んでいなければなりませんから、準備には時間をかけざるを得ません。監査役として出席している会議は、他にも半期毎の部店長会議や全国総務会議に出席しています。毎日忙しいですね。
;会議の他にも、現在12ある支店を年に1~2回の他、本社関係の事業部門や首都圏の営業部をまわります。この往査は取締役会で決定される経営方針と、実態とのギャップを把握するいい機会になります。往査から帰社し問題点を含めて監査調書を書き上げるのですが、その際、正確さを期するために結構時間をかけます。この監査調書は社長、経理部門、現場責任者に渡され、問題点の改善策が図られます。自分の監査によってギャップが埋められ、会社が改善されていくのは大変うれしいものです。


監査を行うに当たって、心がけていらっしゃることをご紹介下さい

;現場の目線を大事にするということでしょうか。商法や商法特例法の条文に沿って大上段から監査を行っても、表面的な監査にしかなりません。私は30年以上営業におりましたので、問題の起こりやすいポイントは大体つかめます。経験に基づいて監査を行こないますね。
;問題点を見つけ出し、担当者の上司や社長に報告することに主眼をおいて監査を行うというよりも、一緒に問題を解決していこうという姿勢で現場担当者に関わっていきます。こんな時にはこれまでの実務経験が非常に役立ちますね。一緒に問題に取り組んでいくことで、担当者との信頼関係が生まれます。信頼関係ができあがれば、情報収集も行いやすい。監査環境はどんどんよくなっていきますね。現場との信頼関係の構築こそが、何よりも予防監査に繋がるのではないでしょうか。


現場と一緒に問題解決に取り組むことで生まれる信頼関係づくりが重要なのですね

;その通りです。ただし、私は学術情報ナビゲーション部門の営業についての経験はありますが、出版、設備建築・内装業やコンピュータなどの部門については、監査を通しての把握であり、専門分野ではありません。そんな時は先輩から話を聞いたり、自分で勉強したりして慎重に対応します。現場を監査するには、現場担当者以上の知識が必要な場合も少なくありませんからね。
;監査役という立場にあるとはいえ、会社をよくしたいという気持ちは現場責任者も私も同じです。この気持ちを大切にして、会社の風通しをよくして行ければと思っています。以前は取締役レベルでしか議論されなかった経営に関する事項を、今では部長や課長レベルでも話題にするようになってきました。風通しがよくなることで透明性が高まり、会社が活気づいてくるように思います。
;また、会社というのは、売り上げのみで競争しているわけではありません。売ることも大事ですが、買うことも重要です。何をどういう目的・値段で仕入れ、それが現在どのような状態にあるのか。適法性・妥当性の議論はありますが、こういう観点で監査を行っていると、どうしても妥当性監査に踏み込まざるをえないと思います。


会計にも明るいと伺いましたが。。。


kk_0209_photo02.jpg;そうですね、税理士の資格を有するには、試験科目5科目を取得しなければならないのですが、私は簿記論、財務諸表論、所得税法、法人税法の4科目合格しています。税理士になるには、あと1科目必要ですが、監査役としてこの会計知識は大変役に立っています。
;取締役会や経営会議に同席する際に、会社の財務がよく分かるというのは、監査役としての発言力が増します。自分の持っているノウハウや経験を出し切れたと思えるような時、そんな時こそ、監査役としての喜びを感じますね。会計の世界は、取り分け会計ビックバン以降、目まぐるしく変化していますので、会計の専門誌には必ず目を通しますし、研修会にも積極的に参加しています。


目まぐるしい社会の変化に対応できる監査ということでしょうか

;業界他社に後れをとらないように時代の変化についていくためには、やはり自分で考え、自分で働くという姿勢が必要です。この点は、経営・執行・監査に共通していると思います。自分で考えるには何といっても最新の知識が必要です。経験も必要ですが、やはり日々勉強ですね。


新任監査役に一言お願いします

;監査役は"閑散役"などと揶揄されることもありますが、取り組めば取り組むほど奥が深いポジションです。ですから、やればやるほど忙しくなります。新任監査役の方には、本を読み知識を得て、経験を活かした監査を行って欲しいですね。


≪塚田さんの略歴≫
1935年生まれ。栃木県藤岡町出身。1954年丸善入社後、医学や工学関係の外国雑誌の営業に携わる。1987年金沢支店長、1990年仙台支店長を経て1994年監査役に就任。簿記論、財務諸表論、所得税法、法人税法の税理士試験4科目に合格。趣味はゴルフを少々。

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