監査役インタビュー

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No.1(02年7月) 環境管理センター 常勤監査役 飯田 冨美子さん


「監査役の一日」

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 一般的に余り目立つことの少ない監査役の働く姿、生の声や本音などをHPで提供していく「今月の監査役」。
 第1回目は環境管理センター常勤監査役の飯田冨美子さん(監査役歴7年)に登場していただきました。
 飯田さんは、公害問題対策に強い使命感を抱いて1971年に製薬会社を辞め、環境管理センターを設立。以後30年にわたり、環境問題に取り組んでいらっしゃいます。
 現在では日本監査役協会においても常任理事、全国会議企画委員会委員、環境監査研究会幹事として大活躍されています。    


《インタビュー》

飯田さんの監査役としての一日をご紹介下さい


;毎朝出社すると第一に電子メールを開きます。監査役のメールには社長をはじめとする役員グループ間のメールも受信できるようになっており、この電子メールを通じて会社の動きを把握するのですが、問題のある案件には監査役としての意見を差し込み、わたくし宛のメールも処理していますと、毎日2時間ほどかかります。
;当社は監査役数も3名(常勤1名、非常勤2名)、スタッフも事務関係1名(兼務)、内部監査関係1名(兼務)という少ない監査体制ですので、内部統制部署から上がってきた資料チェックだけでは済まされません。ただ1名の非常勤監査役は常勤に近い形で勤務しておりますので2名の常勤監査役という感覚で監査業務を行っております。 
;私の方は主に業務監査を、もう1名は経理、財務関連を主に見ておりますのでお昼ぐらいまでは、各懸案事項に関する電話、ファクス等での確認、質問、回答などを行い、さらに内部監査人からは日々報告と相談等で午前中は2人とも大変忙しくとても時間が足りません。
;午後からは管理部門関連(主に総務、経理、財務、経営企画、システム関係)の監査になりますでしょうか。管理部門の責任者(執行役員)や役職者(部長クラス)、さらに担当者等からの質問や相談、報告を、また監査役としては各種数字説明を踏まえた質問等を行います。会議(取締役会、その他重要会議)の前には午後の半日ぐらいは時間をかけて取締役から詳細説明をうけます。トップ経営陣からは経営上の問題やコンプライアンスに関して監査役としての意見を求められます。
;新任取締役には、昨年も、今年も取締役研修会(協会主催)に参加してもらいます。そのフォローとして各種資料を必要に応じて提出したり、場面に応じて商法上の取締役や監査役の権利と責任についての説明等を行います。
;さらに契約書の確認や労務管理のチェック等、主にリスク管理に重点をおいて監査を行っております。重要な契約書では「て・に・を・は」まで慎重に確認いたしますし、契約内容によっては弁護士の先生と相談した上、「待った」をかけることもございます。また、問題が重要だと判断した場合は、現場に出向き、直接担当者から話を聞くことも少なくありません。毎日、大変忙しいですね。


監査役に就任された時のことをお話しいただけますか?

;正直申しましてガックリしました。株式公開の際に当時の副社長に、会社全般を見渡せるため「監査役くらいやりがいのある職務はないよ」といわれてお引き受けしましたが、就任当初は監査役というものがよくわかりませんでしたね。今では笑い話になりますが、取引先や関係者からも"閑散役"との認識から冗談半分に「監査役の他にも営業本部長の肩書をお持ちなのでしょう?」、「弊社の担当は今後も飯田さんにお願いします」といった声をかけられました。
;その後、協会での勉強会や研修会へ積極的に参加し、先輩監査役や弁護士の先生方の著書をバイブルに勉強いたしました。そして監査役の職務というものを学んでいくと、就任当初抱いていた「監査役なんて"あんなもの"」という気持ちは、「監査役は"必要なもの"」に変わりました。今では、取締役に会社法制についての基本的な資料を渡したり、取締役会では必要に応じて商法改正についての説明も行っております。


「あんなもの」が「必要なもの」へと変わっていったことについてもう少しお聞かせ下さい


kk_0207_photo01.jpg;研修会などを通じて自分自身の監査役観が変わってまいりましたし、会社が監査役を見る目も変わってきたと感じております。監査役の立場から取締役や執行に対して発言し続けてきた地道な活動が大きな変化を生んだのではないかと思います。社会の監査役を見る目が変わってきたことも確かですが、社外監査役には取締役会には必ず、重要な会議にはできる限り出席していただくように致しました。当初社外監査役も取締役会には常勤監査役だけが出席すればよいと考えていましたし、社長や取締役たちもそのように思っていましたので。また監査法人との現場への往査も「監査役が一緒に 行くと邪魔になるので遠慮願いたい」等と担当取締役からいわれ たこともありましたがその都度、取締役や社外の監査役に商法上 の責任と重要性を説明いたしました。社外監査役の報酬もご自身 から提示していただくように致しました。
;また従業員に対しては、どんな些細なことでも相談にのりました。監査役には人事権がありませんから、皆さん正直に話しやすかったのかもしれません。会計士や内部監査人とのコミュニケーションにも配慮いたしております。このような活動を通して、「監査役」の役割が末端の社員まで浸透していったようです。いまでは、いろいろな部署での会議の場に呼ばれることも少なくありません。監査役として大変うれしく思っております。


監査役として忘れられない事件やエピソードはありますか?

kk_0207_photo02.jpg;平成11年、協会の常任理事に就任した後のことですが、独占禁止法違反で公正取引委員会より行政処分をうけたことがありました。大変ショックでしたね。退任しようかとも思いました。一生懸命仕事に邁進してきた結果がこんな形になってしまったということ、「独禁法なんて」と思っていた自分、そして何より「悪いことをした」という意識がなかったことに監査役として大変ショックを受けました。この時ほど監査役の重さを感じたことはありませんでしたね。テレビや新聞に掲載され、お客様にも随分ご迷惑をおかけしました。正直、苦い思い出です。
;この事件の後、コンプライアンス(法令遵守)マニュアルを作成し、強硬にガバナンスのシステム作りに着手いたしました。以降、悪い情報は早めに開示できるよう徹底しました。さらに重要なリスクの洗い出しを行い、リスク委員会の一員としても問題のあるリスク特に独占禁止法関係、労働基準法関係、環境関連法関係等については重点的に監査を行い改善を提案して実行させています。


監査役や監査役制度について一言お願いします

;「監査役は機能していない」という議論もありますが、そもそも監査役の仕事とはどういったものなのかについて一般に余り理解されていないのではないかと思います。監査役は、監査役がどう会社で機能しているかを、取締役、従業員、そして社会に対して、もっとアピールしていくべきだと思います。


≪飯田さんの略歴≫
山梨県出身。大学卒業後、商社、製薬会社の勤務を経て1971年環境管理センターを設立、以後22年間取締役を歴任し、平成7年常勤監査役に就任。「すてきに輝いて、すてきに生きる」がモットー。

〈環境管理センター〉
大気、土壌、臭気等の測定・分析をベースとした総合環境コンサルタント。環境報告書作成支援、微量化学物質調査、化学物質リスク管理、ISO規格取得支援、深層水を利用した商品開発等、環境事業全般を取り扱う。71年設立。

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