監査役インタビュー

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No.5(02年11月) 朝日新聞社 監査役  高橋 湛さん


「新聞社の監査」

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 一般に余り知られていない監査役の働く姿や、生の声などの情報をHPで提供していく「今月の監査役」。
 第5回目はちょっと趣向を変えて新任監査役の高橋湛さん(今年6月取締役より就任)に登場していただきました。高橋さんは販売畑出身の監査役。
 就任当初のお話、新任監査役としての意気込み、そして新聞社独自の監査、とりわけ販売に関する監査とはどのような点に注意すべきかについて、高橋さんに忌憚なくこたえて戴きました。


《インタビュー》

監査役に就任された際のことについてお話し下さい


;内示があったときは「できるかな」と思いましたが、販売の先輩が私の前任監査役であったことと、社長に「君にもできるよ」と言われたことで、就任させて戴きました。監査役については、正直言いましてこれまで無関心でした(笑)。
;今は現場での勤務からの気持ちの切り替えと勉強の日々です。法律は独占禁止法を少し勉強したことはありますが、商法については全くの素人です。ですからゼロからのスタートですね。監査役協会主催の講演会や研修会に出来るだけ参加し、監査役としての自覚をもつべく勉強中です。


監査役制度に対するマスコミの批判についてどう思われますか

;マスコミの批判といいますが、実際は一部の学者や弁護士などの意見をとりあげて掲載している場合が多いのではないか。マスコミ自体が監査役制度について批判的であるということはないと思います。企業不祥事はありますが、それはやはり一部の事例であって、一般企業の監査役制度は立派に機能しているわけですからね。
;しかし、監査役制度が機能していないと批判がある時期に監査役になったということで、監査役の存在を示すべく努力をしなければならないと感じています。


新聞社の監査上、重要だと思われている点を教えてください


;新聞社は連結子会社が少なくありませんから、隅々まで目を凝らしていくのは大変だと思います。監査役の力だけでは難しい問題でもありますが、今後は、訪問販売業としての新聞、経営の源である部数の問題について取り組んでいきたい。販売の経験を活かし、新聞社独特の問題解決を課題に監査を行っていきたいと思っています。


訪問販売、部数と言いますと?


;新聞というのは訪問販売業だと思っています。訪問販売により購読契約数を増やさなければ、新聞の部数は増えない。多メディア時代に突入して、活字離れ、新聞離れが進み、インターネットによる情報収集が容易に出来る時代ですから、部数の問題は新聞社の経営に大きく関わってきます。よくご批判いただく新聞の訪問販売の方法について改善していかなければいけません。もちろん、これまで新聞セールスマンの登録制度や研修制度などいろいろと改革してきました。かつて、新聞は作れば売れるというイメージがありましたが、現在は作った新聞を確実に売らなければなりません。作って売るまでのサイクルを対象にした監査が重要になってくると思います。
;新聞の部数は広告収入にも直接関わってきます。ですからこれは朝日新聞だけの問題ではありませんが、発行部数の水増しがないと言いきれるか否かは大変重要な問題です。部数の正確さを求めること自体がなかなか難しい課題ですが、これを克服しなければと考えています。


新聞セールス近代化センターの広告が時々紙面に掲載されていますが...


;これも消費者対応です。このセンターは、新聞セールスの苦情処理やスタッフの登録業務のために、在京六社共同で設けたもので、六社の紙面で月一回ずつ広告を出しています。また、弊社の場合はセールス関係に5名、新聞の誤配や契約などトラブル処理に9名のスタッフを配置しています。消費者対応には随分力を入れてきたつもりですがまだ十分とはいえません。
;紙面に関して読者へのする対応は、サンゴ事件以降、大きく方針を転換させて充実させました。紙面の信用は、新聞社の生命です。現在、広報部には東京本社だけでも33名のスタッフを配置して、日々読者からの意見や批判などに対応しています。


記事盗用についてお話し下さい

kk_0211_photo02.jpg;虚偽の報道も含まれると思いますが、朝日新聞というよりも新聞業界全体の問題だと思います。私の専門分野ではありませんが、「新聞」という商品の性質上、あってはならない最も重要な問題です。他社の記事などを盗用する事例では、社外に執筆依頼した筆者が盗用するケースもありました。研修を通じた教育訓練で対応していますが、新聞人としての自覚と気概そのものではないか、と思います。


商法改正について一言お願いします


;戦後最大の商法大改正の時期に監査役になれたことは、その意義を考えられるということでタイミング的に大変幸せだと思います。
;監査委員会制度ですか?エンロンやワールドコムの事例を見ても分かるように、やはりどんな制度でも完璧はありません。「制度」よりも「人」の問題でしょう。


≪高橋さんの略歴≫
1941年生まれ。東京都出身。1966年産業経済新聞社入社後、中途採用で1981年朝日新聞社入社。1998年販売局長、2000年取締役就任。2002年取締役を経て監査役に就任。趣味はゴルフ・海釣り・園芸。

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