監査役インタビュー

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No.21(16年10月)三井物産株式会社 常勤監査役 岡田譲治さん・山内卓さん

テーマ:監査役就任一年目を振り返って-新任監査役の皆様へのメッセージも込めて-

多くの会員会社におかれましては、6月の株主総会において、新たに監査役・監査委員・監査等委員・
監事にご就任されたことと存じます。
今回の監査役インタビューでは、就任二年目を迎えられた先輩監査役として、三井物産株式会社監査役である、岡田譲治様(以下写真:右)、山内卓様(以下写真:左)にインタビューを行い、新任監査役等の方々に向けて、就任一年目を振り返る形でご経験談をご披露していただくと共に、メッセージを頂戴しました。

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※こちらでは、インタビューの一部をご紹介いたします。
※全文は月刊監査役659号(2016年10月号)に掲載しております。

《インタビュー》
監査役にご就任されて
―監査役にご就任された際に、どのようなことを思われましたか。
201610itw_岡田様.JPG岡田 
私の場合は、監査役就任以前には、CFOを務めており、前任の常勤監査役の方々が、任期を終えて交代する時期が来ることを知っていましたので、漠然と自分に監査役就任の話が来るのではないかと、予想していました。
ただ、前任の常勤監査役二名が二期、計八年務めてきましたので、それを踏襲するのは大変だなというのが、初めの感想ですね。しかし、当社は監査役スタッフも充実しておりましたので、不安はあまりありませんでした。
山内 
当社の常勤監査役は基本的には二人体制であり、一人はCFOや財務・経理部長等の財務会計の知識を有する者、もう一人は営業などの経験のある者から選任されます。私は営業部門から監査役に就任したのですが、営業部門からの候補者は非常に多いので、まさか自分が監査役になるとは思っていませんでした。

―実際にご就任されて、監査役に対するイメージは変わりましたか。
201610itw_山内様.JPG山内 
今までの前任者の方々の監査役としてのイメージは、「静」の姿勢でした。昔からの監査役というのは、色々な報告を執行側より受けて、その報告に関して違法性はないか、経営判断の原則に沿っているかどうかなどを見ていくものでした。しかし、この一年間で会社法改正やコーポレートガバナンス・コードの制定等があり、それらに伴う監査役に求められている役割と職責の変化を受けて、私と岡田監査役は、前任者が「静」であれば、「動」のイメージで、執行側へどんどん提言をしていこう、としています。
私の場合は、監査役に就任する前の七年間で三つの営業部門の執行役員を経験していますので、CFOを経験した岡田監査役とは異なる切り口から、監査活動を行っていこうと思っています。
岡田 私が執行側にいたときの監査役のイメージは、「厳しい指摘はするけれども、決して強面ではなくて、よく話を聞いてくれる存在」というものでした。監査役は余程のことがない限りは黙っている一方で、とても強い権限を持っていますので、何か起きたときにその「伝家の宝刀」を抜いてしまうと、言わば血が流れる恐れもあります。
しかし、私たちが、昨年監査役に就任した時期は、先ほどの山内監査役の話にもありましたように、監査役に求められる役割が非常に大きく変化していく時期でしたので、一歩踏み出し、「静」から「動」へ移行していかなければならないという覚悟を持とうと思いました。

―監査役に就任後、どのようなことから監査役としての活動を始められましたか。
岡田 まずは、監査役監査基準や会計監査人の選定基準の策定、コーポレートガバナンス・コード等への対応をしなければならないということになり、「何から着手すれば良いのか」というのが実情でした。
山内 監査役の法的役割等については、経験のない私にはよく分からない分野でしたので、まずは座学で諸般の法律や制度等について勉強し始めました。私は長く営業部門にいましたので、馴染み深い分野とそうではない分野がありました。馴染みの薄い分野の業務に関しては、執行側に色々とヒアリングをして学ぶところから始めましたね。

本年新たに就任された監査役等へのメッセージ
―本年新たにご就任されました新任監査役等の方々に対して、メッセージを頂戴できますでしょうか。
岡田
 会社法改正により、監査等委員会設置会社の制度が導入され、現在日本の機関設計は三種類あるという状況ですが、私は、監査役制度は長い年月を掛けて磨かれてきただけに、良い制度だと思っています。
海外の投資家や議決権行使助言会社などからは、監査役は議決権がないから役に立たないという意見もありますが、アメリカ型のガバナンスが全て良いというわけではないでしょう。私は監査役の四年間の任期というのは、非常に強みであると思います。監査等委員や監査委員の任期はもっと短いため、そのことの影響や制約はあると思います。
昨今ガバナンス体制は大きく変化していますが、やはり最後は監査役と経営者の誠実さ、正直さが重要だと思います。これを持っていないと、どのような制度設計をしても意味がありません。
新任の方々は監査役としての矜持を持って、会社の健全で持続的な成長と企業価値の向上のために貢献していただきたいと思います。
山内 営業部門から就任した監査役の方にとっては、今までの管理・監督される立場から変わって戸惑うこともあるかもしれませんが、会社を良くする、会社の利益を大きくするという意味では、監査役の立場であっても執行の立場であっても、基本的には同じであろうと思います。営業部門から監査役に就任した方は、営業の仕事をよく分かっていると思いますので、監査役になったからといって急に「お目付役」になったとは思わずに、内部統制をしっかり整備して、より営業部門が攻めに出られるように、より良い営業活動ができるように、取り組んでいただきたいと思います。
その中で重要なのは、不祥事の起きやすい環境や事例についての情報は監査役には多く入ってきますので、
それらをうまく分析し、不祥事の兆候を捉え、未然に対応し、社内に周知し、後々禍根を残すことのないよう取り組むことであり、それが監査役の仕事だと思います。その上で、営業の後押しをして欲しいと思います。

―岡田様、山内様、本日はありがとうございました。

≪岡田さんのご略歴≫
1974年4月 三井物産株式会社入社
2008年4月 執行役員、経理部長
2009年4月 執行役員、CFO補佐 兼 経理部長
2010年4月 常務執行役員、CFO補佐 兼 経理部長
2011年4月 常務執行役員、CFO
2011年6月 代表取締役、常務執行役員、CFO
2012年4月 代表取締役、専務執行役員、CFO
2014年4月 代表取締役、副社長執行役員、CFO
2015年6月 常勤監査役

≪山内さんのご略歴≫
1976年4月 三井物産株式会社入社
2008年4月 執行役員、鉄鋼製品本部長
2010年4月 常務執行役員、物流本部長
2011年4月 常務執行役員、アジア・大洋州本部長
2013年4月 専務執行役員、アジア・大洋州本部長
2014年4月 副社長執行役員、アジア・大洋州本部長
2015年6月 常勤監査役

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