監査役インタビュー

一覧へ戻る

No.17(06年4月)株式会社ローソン 常勤監査役 児島 政明さん

テーマ:内部統制に関する取締役会における決定について

kk_0604_photo1.jpgローソンでは、コンプライアンス(法令等遵守)とリスク管理の重要性は従来から十分認識しており、経営者と監査役が協力して、毎年着実な努力を積み重ねながら、体制を整備し充実させてきました。「継続は力なり」の言葉のとおり、地道に実行と改善を積み重ねて社内に徹底していくことが、結果として最短距離を歩むことになると考えています。
今回の会社法対応としては、従来から行ってきた体制整備を踏まえ、タスクフォースを結成して検討を進めてきました。 
基本方針の決定だけでは抽象論に終わる恐れがあるので、具体的な年度計画の策定や関連規程の整備なども併せて行うことで基本方針の実効性を担保しています。

≪インタビュー≫

5月1日に施行となる会社法では、いわゆる「内部統制システム」の整備が取締役会の専決事項となり、取締役会は、会社法施行後の第1回目の取締役会までにその決定をしなければならないと定められています。
「内部統制システム」の詳細項目が規定されている法務省令がパブリックコメントに付されたのが昨年11月末、正式に公表されたのが本年2月7日であることから考えても、御社ではかなり早いタイミングで「内部統制システム」の整備に関する決定を行ったと言えると思いますが、その決定に至る経緯を教えてください。

 ローソンでは全国に8,000を超える店舗を構えて複雑多岐に亘るオペレーションを展開し、毎日600万人を超えるお客様に来ていただいている関係上、問題は小さなものまで含めると毎日のように発生していると言っても過言ではありません。この状況を踏まえて、監査役会として、コンプライアンスとリスク管理の重要性には従来から注目しており、継続的に状況を確認するとともに、毎年、中間と期末に改善のための課題を取りまとめて経営者にアドバイスしてきました。
 経営者サイドにおいてもこの点は十分に認識しており、監査役会のアドバイスも踏まえて、コンプライアンス体制とリスク管理体制の整備・改善に向けて毎年着実な努力を積み上げてきています。その結果、体制の整備は実態としてかなり進んできているものと評価しています。
 2004年度以降は、コンプライアンスとリスク管理について、各年度の初めに、「年度計画」として取締役会に上程しています。コンプライアンスにしてもリスク管理にしても、何かを1回やればそれで全て片付くという性格のものではなく、継続的に推進し改善を積み重ねていくことが不可欠です。そのためには、いわゆる「PDCA」のサイクルにのせて整備し運用していくことが最も効果的かつ効率的であると考えています。「年度計画」として組み立てているのは、そのためです。
 この考え方に基づき、具体的な施策とそれを遂行するための体制を含めた「年度計画」を組み、この「年度計画」に沿って各種の施策を実行し、その実行状況と結果をモニタリングして改善を要する点を把握し、次年度の計画にそれを反映するという形でPDCAを回しています。
 実際には種々の問題が発生し、なかなか思い通りには行かない面も見られますが、「継続は力なり」の言葉のとおり、地道に実行と改善を積み重ね、社内に徹底していくことが、結果として最短距離を歩むことになると考えています。
 前置きがやや長くなりましたが、当社は小売業の常として2月決算ですので、3月から始まる新年度を控えた2月の取締役会において「年度計画」の一環として内部統制システムの整備に関する基本方針を決定することがベストであり、5月まで待つ必要はないということになったのです。
  2月7日の会社法施行規則の公表から2週間後に取締役会で決定するということで離れ技を演じたように見えますが、実際には11月末に発表された法務省令案に基づいてタスクフォースでの準備作業を進めてきており、施行規則が公表された時点で内容を確認したところ、内部統制システムに関する部分には殆ど変更がなかったので問題なく最終案を固めることが出来たという次第です。



「内部統制システム」に関する検討は、具体的にどのように進められたのでしょうか。

 kk0604_photo002s.jpg会社法が成立したのは7月ですが、「内部統制システム」に関する詳細内容が不明でしたので、実際に動き出したのは法務省令が公表されると言われていた11月頃からです。
 監査役会としては、9月には「内部統制システム」に関する検討が必要だということを確認しており、そして11月末に、基本方針の決定にかかる大枠の考え方や基本方針の必要性などについて監査役会としてのアドバイスを行いました。会社法への対応については、協会の研修会等で勉強してきた結果も踏まえて、会社全体として戦略的に行わなければならないと考え、アドバイスしました。
 具体的な内部統制システムの検討は、「内部統制検討タスクフォース」により進められました。このタスクフォースでは12月の取締役会への報告に基づいて12月下旬にスタートを切り、1月に入ってからは毎週定期的に会合を開催して精力的に検討を進めてきました。その結果、2月21日の取締役会の決定に間に合わせることが出来ました。
 タスクフォースのリーダーは、CRO補佐である上級執行役員(現CCO)、サブリーダーは経営戦略担当の執行役員、メンバーは、総務、法務、主計、財務、戦略企画、人事企画、取締役会事務局、関係会社管理担当、リスク・コンプライアンス委員会事務局などの中核的な責任者です。監査役は、オブザーバーとして参加しました。
 タスクフォースの検討内容は、関連規程の整備、CRO権限の明確化、運営体制の整備、業務環境の整備、関係会社管理体制の整備、PDCAサイクルの確立、大型災害発生時対応策の検討、財務報告に係る内部統制体制の整備、倫理綱領の改訂などです。
 関連規程の整備としては、個々の「コンプライアンス規程」「リスク管理規程」などを新たに制定し、既存の「組織規程」、「決裁権限規程」などを改訂しました。また、個別の規程の制定、改訂だけでなく、「内部統制基本規程」を新設いたしました。この基本規程は、取締役会から従業員に至る各関係者の役割と責任、年度毎に決定すべき基本方針の事項など、内部統制の整備及び運用に関する基本的事項を定めたものです。いくら個別の規程が機能していても、バラバラに機能していたのでは会社としては不十分ですので、全体的に有機的に機能するよう定めたものです。
 また、今回の取締役会での決定において、従来のCRO(チーフリスクオフィサー)と企業倫理担当を統合して、CCO(チーフコンプライアンスオフィサー)を設けました。従って、先ほどタスクフォースの検討内容として、「CRO権限の明確化」を挙げていますが、実質的には「CCO権限の明確化」ということになります。検討当時はCROだったので「CRO権限の明確化」としているということです。
 CCOは、コンプライアンス、CSR推進、全社リスク管理(リスクの未然防止と危機管理)など広範囲の責任者となり、コンプライアンス施策やリスク管理施策についての決定権限をもつ「コンプライアンス&リスク管理委員会」の議長を務めています。この権限については、特定の人に与えるより、委員会という会議体にゆだねた方がよいだろうという考え方から、委員会を設置して権限を与え、その議長をCCOが務めるということにしています。

≪児島さんの略歴≫
1945年生まれ。東京大学経済学部卒業。米国スタンフォード大学経営大学院卒業(MBA)。三菱商事株式会社入社後、カナダ三菱商事、米国三菱商事、投融資審査部長、事業総括部長、関西支社副支社長(総務・業務・経理管掌)を経て、2001年 株式会社ローソン常勤監査役に就任。監査役会議長を務める。趣味は読書、ジャズボーカル、匠、食べ歩きなど多数。

このページのトップへ