対談

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◆改正会社法、コーポレートガバナンス・コードを踏まえた、 これからの監査役等の活動と協会の役割とは ~各種委員会報告を受けて~(日本監査役協会正副会長座談会)

平成29年1月20日、公益社団法人日本監査役協会の正副会長による座談会を開催いたしました。当協会の活動や改正会社法施行、コーポレートガバナンス・コードの適用等を受けて今後監査役・監査委員・監査等委員や協会に期待される役割についてのディスカッションの一部をお届けします。速記録全文につきましては、「月刊監査役」2017年4月号(№666)をご覧ください。

〔出席者〕 <公益社団法人 日本監査役協会>
         会 長  広瀬 雅行(株式会社日本取引所グループ 監査委員)
         副会長  玉井 孝明(東京海上ホールディングス株式会社 常勤監査役)
         副会長  石本 和之 (株式会社デサント 常勤監査役)
         副会長  岡田 譲治 (三井物産株式会社 常勤監査役)
         副会長  黒川  康 (JFEホールディングス株式会社 監査役)
         副会長  藤井 秀則 (東海旅客鉄道株式会社 常勤監査役)
  〔司  会〕 専務理事 永田 雅仁

協会活動の基本方針及び重点施策
20170120hirose.jpg広瀬
:会長の広瀬雅行です。
まず、監査役等を取り巻く環境、現状認識といったあたりから話をしたいと思います。
一連の企業統治改革が実施に移されてからまだ2年にも満たないのですが、この短い間に企業統治改革は大きく進展しました。現在は、まず形を整えつつある段階ですが、プリンシプルベース・アプローチのコーポレートガバナンス・コードの下、各社がその説明責任を果たしていく中で、その内容、実質が問われるようになってきます。そういう意味で、企業統治改革は現在進行形であると言えます。監査役等を取り巻く環境には大きな変化が継続しており、監査役等の皆様はその対応に骨を折られているのではないかと思います。そこで、このような環境変化等を踏まえ、協会では五つの基本方針を策定しております。

第44期 事業計画・基本方針
1  企業統治改革の今後の方向を注視し、監査役等に関連する事項について適切且つタイムリーな提言を行うべく調査・研究を行う。
2  非業務執行役員としての社外取締役との役割分担及び連携の在り方について調査・研究を行う。
3  引き続き昨年の企業統治改革の各企業への影響の分析と提言を行う。
4  企業集団における監査の実効性等、監査の観点から今後重要となる課題を抽出し、検討を行う。
5  企業統治において監査役が果たしている役割・機能について国内外の理解を深めるとともに、投資家等との対話における監査役の在り方について研究を行う。

ガバナンスの強化自体については、監査役等としても望ましいことであり、ポジティブに捉えていただけると思います。協会としては、監査役等の皆様がその役割・責務をしっかりと果たしていただけるよう、今期も以下の三つの分野を中心に精力的に活動していきたいと思っています。

第44期 重点施策
1 監査役制度に関する研究及び提言
2 研修活動の強化
3 情報発信活動の強化

自社における三様監査の在り方
20170120tamai.jpg玉井:
当社の場合は、監査役と会計監査人、監査役と内部監査部門との連携やコミュニケーションはそれぞれかなりの頻度で行っているのですが、今まで監査役、会計監査人、内部監査部門の三者が同時に集まって会議を開催したことはありません。岡田副会長が行っている意見交換会は、非常に興味深いアイデアだと思いました。差し支えない範囲で結構ですので、開催された趣旨やテーマ、頻度などについて、お聞かせいただければと思います。
岡田:
この意見交換会は、一昨年から年に2回開催しています。それまでは我々も玉井副会長の会社と同様に二者間のコミュニケーションしかとっていませんでした。
20170120okada.jpgところが、三様監査についての話をいろいろと聞いて、では一遍に集まったほうが効率がよいではないか、ということになりました。やはり監査の効率を上げるという意味でも、お互いが抱える問題について情報を共有したほうが、効率が上がるという趣旨で皆さんに声をかけたら、「そのとおりですね」ということで、三者が集まりました。
当初は、内部監査部門は社外の人間である会計監査人にどこまで情報を共有してよいのか、相当躊躇があり、「監査報告書はそのまま渡せませんよ」と言っていました。しかし、彼らはある程度、会社の問題点を指摘しているサマリーを作成しているので、「それだったら渡しましょう」、というところからスタートしました。今は年に2回の開催ですが、今後はもっと増やしていきたいと思っています。
また、先ほども申し上げたように、当社のように関係会社が多い会社では、問題の所在は関係会社にあることがあります。関係会社について我々が感じている問題点、会計監査人が感じている問題点をそれぞれ出して、指定している39社の重要関係会社それぞれの問題点を書き並べていくと、私たちが見ていても分からなかったことに、「おお、そうか」と気付くことがあります。こういった連携の工夫についても、これから効果が出てくると期待しています。
20170120ishimoto.jpg石本:
私は、会計監査人から監査計画を会社側に伝えてもらうときには、監査室の担当者を同席させ、また、会計監査人の監査報告のときにも、同席させていますが、岡田副会長の会社のように、三者でのミーティングはほとんど開催していません。その三者でのミーティングも一つの参考にさせてもらいたいと思いますが、岡田副会長の会社では、会計監査人からの監査計画や監査報告のときは同席されていますか。
岡田:
同席していないですね。今お話を伺って、よいアイデアだと思いました。当社では、たとえば、我々が内部監査部門から聞いた監査計画を彼らに了承をとりながら監査法人に伝えています。監査法人の監査計画は、会計監査の視点からの報告なので、内部監査と全く同じではないため、監査法人から聞いた監査計画を内部監査部門に伝えるということは、今はやっていませんし、やる必要はあまり感じていません。むしろ、その両方に繋がるところを我々が伝えていけばよいと思っています。
20170120kurokawa.jpg黒川:
我々ホールディングスでは、三者間でのミーティングや監査計画の報告に内部監査部門の担当者が同席することは行っていませんが、グループの事業会社では取り組んでいるところもあります。また、内部監査の監査計画、会計監査人の監査計画をそれぞれ説明し合ったり、監査役の監査計画も説明し合ったりしている事業会社もあります。そこではどういうことに関心があるかについて、よく三者間で認識ができるのではないか、という気がします。
永田:会計委員会が公表した報告書にも記載していますが、会計委員会で行ったアンケートの中で「内部監査部門も会計監査を行っていますか」という質問がありますが、多くの会社が「行っています」と回答しています。ただ、実際の状況をインタビューして聞いてみると、アンケートで「内部監査部門も会計監査を行っている」と回答された会社も、会計監査といっても内部統制監査に関連する範囲のみで行っているとのことでした。いわゆる会計監査全般を行っている会社は実際にはそんなにはないとの印象です。20170120nagata.jpg
広瀬:
内部監査の在り方は各社各様であって、スタンダードがあるのかないのか、よく分からないですね。
藤井:
おっしゃるとおりです。私どものような鉄道会社では、「安全」というものが主ですから、安全対策部門があるわけです。それとは別に、内部監査を行う監査部がありますが、会計監査は行っていません。では、何をやっているかと言いますと、業務監査です。労働安全衛生法規、業務規定はしっかり守っているか等を主に監査しています。監査の対象が違いますので、彼ら自体監査法人との連携の必要性を感じていないところがあります。
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